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デンマーク戦で見た俊輔 [サッカー]

 日本対デンマーク戦のテレビ中継を見ていて印象的なシーンの一つは、前半終了直のピッチ上での光景だった。そこでは、中村俊輔が他の日本人選手の誰よりもタッチラインから離れた位置まで入り込み、フリーキックを決めた遠藤、本田に握手をしに行っているのだ。
 おそらく試合に出られず悔しい思いをしているだろう。サッカー選手なら誰でもベンチよりもピッチに出ていたいはずだ。しかも、それまで日本代表の中心選手としてゆるぎない存在だった自分が、スタメン落ちの現実に直面している。心中を察するに、余人には計り知れないものがある。それを堪えて殊勲の味方をたたえる姿に私は感動した。
 報道によれば、調子の上向いてきた俊輔は、居残り練習などで積極的にアピールしているそうだ。試合に出たいという気持ちを、練習に取り組む姿勢で無言のうちに表しているのだと思う。
 GKの川口能活も同じだろう。試合に出るチャンスは少ないにもかかわらず(もっとも本人は、いつか必ず声がかかると信じて練習に取り組んでいるはずだ)、それを承知でキャプテンとしての役割をこなしている。きっと、選手みんなに声をかけて発破をかけていることだろう。
 川口は言葉で、俊輔は背中で、きっと日本のメンバーを鼓舞しているのだと思う。周りの若い選手たちに、川口さんのためにも、そして俊輔さんのためにも、自分たちが頑張らなければならないという気持ちにさせているのではないだろうか。こんなところにも、日本チームの結束と強さの一端がある。
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